不易流行 〜インドのファッション&ビューティ〜

FASHION & BEAUTY in INDIA/インドの多様性を映す民族衣装サリー情報をはじめ、昨今のファッションやジュエリー、コスメティクスのトレンドをご紹介。

✈︎ 過去ブログ/2005〜2025

10DASTKAR05

基本「即決型」のわたしが、今回は数日、迷った。自分の持つサリーの中では最も高価だし、渋めの色合いが、自分に本当に似合うのかどうか、今ひとつ、確信が持てなかった。

夫に詳細を説明し、写真を見せたところ、「欲しいなら、買えば?」と言う。

あんなにサリーを「古くさい」と嫌っていた夫が、古くさい極み、つまりこてこてに伝統的なサリーを見て「買えば」と言っている。

正味な話、お金の問題ではない。

っていうか、たいそう大げさに書いているが、高級ブランドの服やバッグを買うのと変わらない程度だ。ただなぜか、サリーとなると、妙に緊張する。

10DASTKAR04

それは多分、これがインドテキスタイル省からの受賞作品であり、職人である彼が、1年半もかけて作ったという、そらもう、思い入れと情熱の籠った作品であることが、理由だろう。

大切な作品を、大切に購入し、大切に着たい。その覚悟が必要だ、と思えたのだ。同じ値段でも、機械製品とはまた違う、「気持ち」が入る。

だから、お金の問題ではない。

10DASTKAR03

彼は今、27歳になったばかりだという。17歳の時に、織りの仕事を始めたとのことで、今年が10年目なのだという。

3年前に受賞した、このマスターピース。彼とともに、あちこちの地で、展示されて来たのだろう。

虫干しせんとな。

じゃなくて、彼の思いもまた、詰まっていることだろう。

10DASTKAR07
10DASTKAR08

彼の両親もまた、職人。ともに、賞を受賞している。両親の工房には25名の職人がいて、彼らが一般的なサリーを制作しているという。

05DASTKAR38

実は、DASTKARを訪れたのは、3度目。

すでに買うつもりでいたのだが、改めて、広げて見せて。と頼んだ。

初日は大雨だったからかなわなかったが、今回はもちろん、身にまとってみた。身にまとったとき、「脱ぎたくない!」と思えた。

「これ、買います」

と言ったときの、彼の表情。一瞬、硬直していた。しばらく話をして、写真を撮った。少し、笑顔を見せてくれた。

お金を支払って、商品を受け取るとき。彼はわたしに向かって、手を差し出した。

握手をした瞬間、なんとも言えぬ、やさしい笑顔を見せてくれた。

大切に、いろんな場所で、このサリーを着よう、と思った。

それに加え、このサリーのモチーフになっているオリッサの3つの寺院のことについても、ちゃんと調べようと思った。

このサリーに、わたしに買われてよかった、と思ってもらえるように。

お金があるから買う。というのではなく、気持ちを込めて、買わせていただく。

ということを、インドに来て、教わっているような気がする。

Posted in , ,