不易流行 〜インドのファッション&ビューティ〜

FASHION & BEAUTY in INDIA/インドの多様性を映す民族衣装サリー情報をはじめ、昨今のファッションやジュエリー、コスメティクスのトレンドをご紹介。

✈︎ 過去ブログ/2005〜2025

  • 17kolkata00_4

    ほとんどの仕事を終えて今日、時間の許す限り、コルカタの市街を巡った。まずは滞在しているオベロイホテルのすぐ裏手にあるニューマーケットへ。

    ニューマーケットとは名ばかりで、古くからある混沌の市場。コルカタ初日の夜、モナが教えてくれたプラムケーキを買える店へ行こうと思う。

    17kolkata01ホテルから5分ほどもかからないのだが、次から次へと「客引き」のおじさん、お兄さんらが声をかけてきて、鬱陶しい。

    たとえインドに暮らしていても、風貌はどこから見ても非インド人。

    観光客と思われて仕方ないのだが、「パシュミナ」だの「カーペット」だのの勧誘を振り切りながら歩くのは面倒この上ない。

    ところで左の写真。車の上にぬいぐるみを並べ、ここで商売をするらしきお兄さんの図。ぬいぐるみも瞬く間に色落ちしそうな炎天下。果たして買い求める人があるのだろうか。

    さて、薄暗いアーケードの中に広がるニューマーケットで、ともかくはプラムケーキと、そして見つかればダージリンティ、そしてコルカタ名物のマスタードでも買おうと思う。

    17kolkata02_317kolkata03_2

    創業百年を超えるその店。ポルトガルのリスボンや、南端の港町ファロで見かけた、古い古いベーカリーを彷彿とさせるたたずまいだ。

    たちまち旅情はかき立てられ、素朴で野暮ったい焼き菓子さえもが、おいしそうに見えてくる。モナに勧められたプラムケーキは、どっしりと質感がある。

    もっとも、商品名はフルーツケーキと書かれて、パウンドケーキ風のプラムケーキはほかにもあったのだが、日持ちのするリッチなケーキだと教わっていたので、このフルーツケーキだろう。

    聞けば3週間ほど持つという。英国の伝統的なクリスマスケーキであるところの「クリスマスプディング」(←文字をクリック)みたいなもののようだ。

    このほか、焼きたてのガーリックブレッドなども売っている。ガーリックブレッドは夫の好物なので、改めて明日の朝、ホテルをチェックアウトする前に立ち寄って、新鮮なケーキとパンを購入することにした。

    17kolkata0618kolkata03
    17kolkata04_217kolkata07_2

    世界最大、最古のティーオークションが開かれるコルカタにあって、しかし良質の紅茶は先進諸国に流れていくものが大半。デリーには、なじみの茶専門店が2軒あるが、この街で高級茶葉を扱う店の情報を得てはいなかった。

    市場には、いくつかの茶葉を売る店があり、日本人にもおなじみのマカイバリ(オーガニックティーを生産する茶園)の箱入りのダージリンがあったが、量り売りで売られている茶葉は、そこそこ、といったところか。

    17kolkata10_3

    それでも、一応、香りの良さそうなセカンドフラッシュのダージリンを買った。ミルクたっぷりで煮だし、砂糖をたっぷりいれるチャイに好適なアッサムのCTCなどは、100グラム数十円という激安価格であった。

    17kolkata09_217kolkata11

    淡水魚を使った料理が多いコルカタの食材を見るべく、魚売り場にも踏み込みたいところだったが、それは次回の訪問時にとっておこうと思う。

    17kolkata12_3ホテルへの帰路、さきほどの車を見れば、ぬいぐるみで埋め尽くされていた。

    車にこのような用途があったとは。

    たいそうインド的な商売の風景である。

    さて午後は、この地方独特の布や工芸品を求めたく、各方面から得た情報をもとに、いくつかのスポットを訪ねた。

    インドに暮らし始めて3年。サリー用の布地を幾度となく見て来たが、毎度毎度、新たな発見があって、尽きない。未だ、布を見るときに目が泳いでしまう。

    焦点をしっかりと合わせて、自分の好みの色柄を選び出すのは、決して簡単なことではないのだ。

    17kolkata13_217kolkata14_2

    別のお客さんが広げてもらっているのを横目で眺めつつ、素材や織、染め、刺繍などの意匠にも気を払いつつ、「あれを見せて」「それを見せて」と指差して、引っ張りだしてもらう。

    広げたときに、思いがけないほど精緻な刺繍が現れたときなどは、感嘆のため息が出る。そのひとときは、なかなかに愉しいものなのだ。

    17kolkata22

    コルカタの、街角の風景に色を添えているのがチャイスタンド。こってりと濃厚で過激に甘いチャイを、素焼きのカップに入れてくれる。

    カップが熱くて持ちにくい上、素焼きの口当たりはざらざらで、決して飲み心地のよいものではないが、しかしおいしく感じる。立ち飲みをしたあとのカップは、捨てる。土から作られ、土に還る。リサイクルなカップなのである。

    17kolkata23_1117kolkata24

    さて、また別のテキスタイルショップへと赴く。この店もまた、西ベンガル地方の工芸品を中心に扱っている。木綿製品もまた、さまざまな織があり、粗い手触りのロウシルクなどもまた、独特の風合いだ。

    ちなみに下の大きな写真は、綿で織られている。とても綿とは思えない高級な質感だ。

    17kolkata18

    サリーだけでなく、サルワールカミーズ用の布に加え、ストールや切り売りの布もある。店内を一巡、二巡するたびに、異なる布に目がとまり、いったいこの店でどれほど時間を過ごしただろう。

    17kolkata16_617kolkata17_3
    17kolkata19_217kolkata20

    左上の写真は、ふんわりと厚みがあり、まるでウールのようであるがシルクである。右上の写真は、まるでラルフローレンのシャツにでもなりそうな木綿のサリーだ。

    他の店ではまた、コルカタが位置する西ベンガル地方の伝統工芸であるカンタ刺繍のサリーやストールなども目にした。下の写真がそれだ。わたしは鳥をモチーフにしたカラフルなストールを買い求めた。

    17kanta_317kanta2

    布を買い求めたあとは、ホテルの近くにあるベンガリスイーツショップへ立ち寄る。ここで夫の好物であるミシュティ(甘い菓子)をお土産に買おうと思うのだ。

    コルカタはミシュティの都。街のあちこちに店が見られる。ミルクと砂糖がたっぷりの甘くて濃厚な菓子。それに加えてチャイも愛飲され、この都市の砂糖の消費量は、世界でも群を抜いて高いのではないだろうか。

    糖尿病患者が多いことから、ノンシュガーのミシュティも売られ始めているらしいが、もちろん味は落ちる。やはりこの濃厚な旨味は、純粋な砂糖だからこそ出せるのだろう。

    17kolkata25_4

    どれがどのような味なのか、察しがつかないものもあり、適当に何種類かを選ぶ。すべて似通った味だといえばそうなのだが、カルダモンやサフランなどのスパイスやナッツ入りもあり、それぞれ、似て非なるものなのだ。

    形が崩れないように、手荷物で持って帰らなければ。

    さて、以下は本日入手した品々。上段の二枚は、どちらも木綿のサリー。木綿だけあり、かなりリーズナブルであるが、特に左のサリーは伝統的な織がむしろモダンで、着てみるとかなりおしゃれな印象になった。

    右側はひまわり柄。室内で撮影したので暗いが、実際は爽やかな黄色である。わたしは黄色が好きなのだが、黄色のサリーは1枚しか持っておらず、これはカジュアルにも着られるので選んでみた。夏の午後のお茶会などにもよさそうだ。

    やはりホテル近くで、モナやスジャータから教えてもらっていた刺繍専門店で、カクテルパーティ用のナプキンなどを購入する。品質はピンからキリだが、なかなかにかわいらしいものを見つけることができた。実り多き一日だった。

    17kolkata21_317kolkata31
    17kolkata33_317kolkata30_2

  • 11lunch00

    ●久しぶりに、美味! シーフードのミールス

    昨日のティーパーティ、いやワインパーティ時に、何かの話から、南インドの米粉で作られたパン「イディリ」や「アッパム」の話が出た。そうしたら、久しぶりに、「アッパム」が食べたくなった。

    おいしいアッパムが食べられる店と言えば、まっ先に思い出されたのが南西インド沿岸部のシーフードが味わえるレストランKaravalli。この店のシーフード・ミールス(定食)がうまいのだ。俄然食べたくなってきた。

    他の人も、「食べてみたい」「食べたいわ」と盛り上がり、じゃあ、明日食べに行きましょうと話がまとまる。計6名と、本日OWCのCoffee Morningのあと、Taj GatewayにあるKaravaliへ赴いたのだった。

    アッパムは上の写真に写っていないが、米粉で作られたパンケーキのようなもので、周囲はパリッと香ばしく、中央のあたりがフワフワとしている。別の店だが、この日の記録の下部右の写真(←文字をクリック)がそれである。

    Karavaliのミールスにはシーフード、ノンヴェジタリアン、ヴェジタリアンの3種類があり、白ワインがついてくる。シーフードが最もよいお値段で、世間のミールスに比してかなり高いが、ともかくおいしい。ときどき急に食べたくなる味なのである。

    初めて味わう人たちも、とても気に入った様子であった。なによりである。

    ●聖母マリアと、その少年たち

    インドの街角に見られるさまざまなポスター。それぞれの土地柄によって、その傾向は異なる。バンガロールの場合、政治家のポスターにせよ、宗教団体のポスターにせよ、下の写真のようなテイストのものが多い。

    政治家の場合、全身写真が一般的で、なぜか右足、まれに左足を一歩踏み出して「歩いている雰囲気」で撮影されているものが多い。直立不動というものはない。

    その際、くたびれたチャッパル(サンダル)をはいている人も見受けられ、ポスターに掲載される写真を撮るときくらい、きれいな靴を履けばいいのに、とも思う。よくわからない。

    敢えて言うまでもないが、インドの日々には、よくわからないことで満ちあふれている。

    そしてまた、今日もまたよくわからないポスターを見つけた。聖母教会と墓地がある場所のそばを通過したとき、車窓から激写した一枚が下である。

    11mary01

    中央に、聖母子像の写真。その周辺に、怪しげなおじさまたちの顔写真。いったい、彼らは何なのだろう。キリスト教会関係者か。写真をよくよく見てみると、下部にMary’s Boys Associationとある。聖母マリアとボーイズの協会。

    っていうと、彼らが聖母マリアのボーイズということなのか。

    ……。

    11mary04ボーイその1:南インドはタミル映画の脇役に出てきそうなおじさん。

    11mary03ボーイその2:額に見えるその護符は、ひょっとしてヒンドゥー教のものではないのか? そんなに堂々と、クリスチャンなポスターに露出していいものなのか? よくわからない。

    ボーイその3の笑顔は屈託がなくてかわいいけれど、ボーイその4は、ひどく顔色が悪いが大丈夫か。

    11mary02ボーイその6:

    ……。

    聖母子の傍らで、サングラスはないんじゃないの〜? まるでタミル映画の主役気取りである。

    インドの街角には不思議があふれている。へんてこに満ちている。毎日毎日、そういう光景を眺めながら、すでに「目が慣れて」しまっているけれど、慣れてしまっちゃまずい気もする。

    時には初心に帰って、こうして目に留まるへんてこを記録しておこうと思う。

    bud

    11mihoところで右は、本日の「自称サリー親善大使」である。

    このサリーは、先日義父ロメイシュと義継母ウマがムンバイに遊びに来たおり、誕生日プレゼントにと贈ってくれていたバラナシ・シルクのサリーである。

    薄紫色のシルクに銀糸での刺繍が施されている。光沢があり、とても美しい。

    夏向きのオーガンジーのような「透け透け感」のある素材だが、かなりしっかりとしており、若干「網戸」的である。ひどい表現である。

    絞りサリーや、シフォン系のサリーに比べるとやや着心地が悪いが、それでも素材が美しいのでとても気に入っている。

    Karavalliで隣のテーブルに座っていたグループの女性たちがわたしの方をかなりジロジロと見ていたので、サリーを着ている東洋人が珍しいのだろうな、と思っていた。

    インドの人たちでも、特にローカルの素朴系な人々は、人のことを容赦なく見つめる。見つめる彼らには、基本的に悪意はない。好奇心をそのままに、見つめているだけのことである。

    わかっちゃいるが、ときどきムッとする。攻撃的な気分のときは、「なんガンつけようと〜」という気分になり、見つめ返す。どちらが先に目をそらすか戦ったりする。が、たいてい負けてしまう。

    しかし今日の場合は、見つめるばかりでなく、ついには巨漢のおばさま(やはりサリー姿)が、よっこらしょという感じで、わざわざ席を立ちわたしの傍らまでやって来て、

    「あなたのサリーは、本当に美しいです」

    と、ほめてくれた。隣席のグループ一同、わたしを見て、笑顔で頷いてくれたのだった。

    インド国内でサリー親善大使をやってどうする、という気がしないでもないが、ほめられてとてもうれしかった。

    今後、誰かに見つめられても戦いを挑んだりせず、見つめられるがまま、見つめてもらおうと思った。

    clip2001年9月11日のことをいつまでも心に刻んでおく。

  • 04indira01

    あ〜! 開・放・感!!

    などと書いても夫が読めないというのは、幸せと言えば幸せである。基本的には独立独行のわたしにとって、ひとりの時間は不可欠であり、なるべくしてなった二都市生活、という気がしないでもない。

    出会って当初は、彼がわたしの言語を彼が理解できないことに、物足りなさがあった。日本語を通して表現する我が言葉に含まれる微妙なニュアンスを、察してもらえないことは、寂しいことでもあった。

    でも今は、お互いわかりあえない部分があるくらいで、よかったのかもしれないとも思う。

    彼がもしわたしのこのサイトを読めていたとしたら、多分、干渉を受けて、続いていなかったに違いない。彼の間抜けな一面を書けば、当然ながら文句を言われるだろうし、かといって褒めれば、それはそれで自慢をするなとも言われるだろう。

    「ぼくの妻はライターなんですよ。え、何を書いているのか? それがね、よくわからないんですよ! 僕、日本語、読めないんでね〜! ワッハッハッハ!」

    と、笑っているうちが華である。

    一方の懸念は、わたしの変な英語により、彼が悪影響を与えられることである。たまに、日本語が話せる外国人と話していると、自分の話す日本語が、妙にぎこちなくなることがある。

    あのような状況を延々と続けるのは、どんなものだろう。

    などと心配する前に、自分の英語力向上に努めるべきなのだろう。

    pencil

    メイドのプレシラや、庭師の山下清一家(※注:庭師が山下清に似ていることから)への給与を支払い、アイロン屋へアイロン代を支払い、会計整理をしたり、仕事の見積もりを立てたり、今朝は数字関係で過ぎて行く。

    11時になり、しかし作業を中断してサリーに着替える。今日はバンガロール在住の日本人女性による「さくら会」のランチパーティーが開かれるのだ。

    会場は、インディラナガールの目抜き通りである100フィートロードに最近オープンしたオリエンタル料理の店。100フィートロードは、わたしたちが渡印した当初の3年前から延々と、あちらこちらで工事が行われており、次々に新しいブティックやレストランが開店している。

    上の大きな写真は、その風景の一こまである。かなり原始的な方法で古いビルディングを解体しているようである。澄み渡る夏空の青のもと、槌音響き、砂塵は舞い上がる。

    さてさくら会。本日の参加者は50名ほどだったらしく、新しい会員の方々も十数名いらした。日本人駐在員の数もまた、確実に増えているようである。

    04mihoさて、右の写真は本日の「自称サリー新善大使」。

    日本の集いにちなんで、先日入手したところの絞りサリーである。

    絞りを生かすため、身体にまきつけない部分の半分はアイロンをかけずにそのまま絞られているので、全体にちょっと「小さい感じ」であはある。

    しかし、その伸縮性ゆえ、ずるずると肩から落ちることなく身体にフィットし、非常に着心地がよい。しかもたいへん軽いので動きやすい。

    ちなみに身体に巻き付ける部分は、本来、フロアに届くくらいに長くすべきなのだが、今日は外を歩くので若干短めにしている。

    pencil

    ひとりだと、夕飯が呆れるほど手抜きで呆れる。

    朝は、たとえ一人でも、毎朝恒例のニンジンやリンゴ、レモン、トマトなどを使っての新鮮ジュースを飲み、ザクロやパパイヤ、バナナなどのフルーツを摂取するなどして栄養補給をしているので、健康的ではある。

    昼は外食。

    問題は夜。本を読んだり、DVDを見たり、書き物をしたり、気ままに過ごしているひとときは、料理をしたくない。

    昨日はうどんだった。

    そして今日は、ごはんとみそ汁で完了! 

    それだけかい?! という話である。でも、ごはんには、梅干しとか鰹節とか、いりごまとかをふりかけて、さっと醤油をかけて、それを海苔で巻いて食べるという、そこそこおいしい料理(と呼べるのか?)ではある。

    たまには、いいのである。

    いちいちここにレポートするほどのことでもないことだが、何となく。

    明日はまた、朝7時よりFM熊本の収録につき、5時半起床。本日は早めに就寝しようと思う。

  • 31bd01

    8月31日の本日は、我が誕生日であった。夕べDVDを見ながら、しかし12時が過ぎた瞬間に、HAPPY BIRTHDAY! と自ら叫び、アルヴィンドも「オテンジョウビ、オメデトウゴザイマス!」と、微妙な日本語で祝してくれた。

    インド産SULAのスパークリングワインを開けて乾杯。飲みながら、映画の続きを観たのだった。

    今日もまた、日曜なのをいいことに、昼間から残りのスパークリングワインを開けつつ、すっかり「ピアフ」づいているわたしたちは、ピアフの音楽を何度も繰り返し聞きながら、各々の仕事や書き物をして、のんびりと過ごす。

    アルヴィンドがお誕生日のプレゼントを買いに行こうと誘ってくれるのだが、目的の店はバンガロールにあるため、プレゼントは先延ばしにしてもらい、夕食の予約を彼に任せた。

    さて、夜。サリーに着替える。近々ムンバイ宅では車を購入する予定なのだが、今はまだタクシーを使っている。今夜もまた、いつもの無線タクシーを予約していた。車に乗り込み、アルヴィンドが目的地を告げる。

    「タージ・マハル」

    ムンバイでは、THE TAJ MAHAL PALACE HOTELは、通称「タージ」もしくは「タージ・マハル」で通用する。ところが運転手、

    「住所を言ってください」

    という。

    「インド門の向かいにある、タージ・マハル・ホテルだよ」

    ヒンディー語でアルヴィンドとドライヴァー、言い合っている。聞けばドライヴァー、最近運転を始めたばかりで、なんとインド門もタージ・マハル・ホテルも知らないというのだ。

    それは、マンハッタンで「自由の女神」の場所を知らないのと同じことである。東京で「東京タワー」を知らないのと同じことである。ワシントンDCで「ホワイトハウス」を知らないのと同じことである。大阪で「通天閣」を知らないのと同じである。例を挙げればきりがないのである。

    史上最強のドライヴァーに遭遇してしまったようだ。よくもまあ、それでステアリングを握って運転できることとと、むしろその度胸に感心する。

    ドライヴァーは車を停め、黒と黄色のおなじみ旧型フィアットのドライヴァーに道を尋ねている。何度も何度も、同じことを繰り返し教わっているのに、全然わかっていないドライヴァー。脱力。

    仕方なく、わたしがナヴィゲーターをつとめることにした。

    「まっすぐ!」「左!」「そのサークルをぐるりと右!」「左!」「右!」

    31bd02お誕生日の夜だというのに、またしても、荒れた感じの我。

    なんとか到着し、深呼吸して気を取り直し、ホテルの中へ入る。

    晩餐の場は、WASABIであった。

    4年前、夫の出張に同行してムンバイを訪れたとき、WASABIと言う名の日本料理店がオープンしたとの話を聞いたときには、そのネーミングのセンスから、日本人は関わっていないのだろうなと思っていた。

    ところがその後、「料理の鉄人」の森本氏がプロデュースしている店で、正式名称が “WASABI BY MORIMOTO” と知り、ちょいと驚いた。

    今では慣れてしまい、変だと思わなくなってしまった。

    日本では、他の「鉄人シェフ」に比べ、森本氏はあまり知られていないとの話を聞いたが、米国では”IRON CHEF”(料理の鉄人)の再放送が久しく放送されていた時期があり、森本氏はニューヨークの有名レストランのシェフとも対決をしたりして、かなり有名な人物である。

    “IRON CHEF”は、米国時代の、夫の好きなテレビ番組の一つであった。

    2005年2月、ワシントンDCに住んでいたころ、フィラデルフィアで行われていたサルバドール・ダリ展を見に行った。その折、森本氏のレストランであるMORIMOTOを訪れた。

    Pmorimoto2ちょうどわたしたちの隣席の女性たちが、森本氏の知り合いだったらしく、彼はその女性たちに、「鉄人みずから」あれこれと料理をサーヴして、場を盛り上げていた。

    とても感じのいい方だなとの印象を受けた。

    食事を終えたわたしたちは、森本氏に声をかけ、挨拶をした。アルヴィンドは、

    「僕はムンバイの、タージのあなたの店にも行きましたよ!」


    と、そのとき食べたエビ料理のおいしさを、熱く語っていたものだ。右の写真は、そのときのものである。アルヴィンド、もんのすごく、うれしそうである。

    bottle

    さて、3年前、インドに移住する直前にムンバイを訪れた時、ちょうどわたしの誕生日をこのホテルで迎え、WASABIでバースデー・ディナー(←文字をクリック)を楽しんだのだった。

    その日は奇しくも、WASABIの開店一周年記念日。わたしと同じ誕生日であった。大きなバースデーケーキをコンプリメントで出していただき、とても幸せなひとときを味わったものだ。

    そして本日。テーブルについて、メニューを開く。

    先日、視察旅行のコーディネーションの折に訪れていたので、すでに知ってはいたのだが、3年前に比べると、愕然とするほどお値段が上がっていることに、改めて驚く。

    松竹梅300mlが……。ご飯一膳が……。いろいろ書きたいが、せっかくの誕生日だ。ムードを壊すようなレポートは控えよう。

    さて、「家庭で料理できないもの」。つまり刺身類を中心に、注文することにした。

    久しぶりの刺身をわくわくとしながら待っていると、あら、カウンターに森本さんが! アルヴィンド、さっそくカウンターへ向かい、声をかける。わたしも続いて、席を立つ。

    「覚えていらっしゃらないかもしれませんが、3年前にフィラデルフィアのお店でお会いしたんですよ」

    聞けば森本氏、昨日ムンバイに到着し、明日は、デリーにオープンしたばかりの店を訪れるとのこと。米国にも新しい店を数店オープンするなど、とてもおいそがしそうである。

    今日はわたしの誕生日だと説明したら、その後、「鉄人みずから」メニューにはない前菜をテーブルにサーヴしてくれた。それは、マグロのタルタルの上に、トマトやオリーヴ、クリームチーズやキャビアなどが上品に盛りつけられたもので、スライスされたサトウキビをスプーンにして、食べるのだと言う。

    「こうやって、サトウキビの上に載せて、ガシガシとサトウキビを噛みながら、食べてください。サトウキビ、噛み切っちゃだめですよ」

    といいながら、デモンストレーションしてくれる。

    31miho_2日本から直送される刺身は新鮮で美味。アルヴィンドの注文した料理もおいしく、かなりのヴォリュームがあり、すっかり満足だ。

    食後は再び、鉄人みずからバースデーケーキを運んで来てくれた。

    こんなに手厚くもてなしていただけるとは思ってもおらず、感激である。

    「3年前の白いケーキもおいしかったけど、これもおいしいね!」

    食べ物のことは、特にしっかりと覚えているマイハニーだ。

    アルヴィンドと二人きりでも、それはうれしかったに違いないが、今日は思いがけず、わずか2日しかムンバイに滞在しない森本氏にもてなしてもらえて、喜びもひとしおである。

    31bd05帰りしな、アルヴィンドも森本氏と記念撮影。

    3年前と同様、満面の笑顔である。

    本当に、いい夜だった。

    birthday

    こうしてまた、一つ歳を重ねたけれど、33歳だろうが43歳だろうが53歳だろうが、この際、どうでもよい。

    いつまでも元気で活動できれば、今が何歳であろうが、あまり重要なことではない。

    健全な精神と肉体を維持するための努力をしつつ、寄る年波をかきわけつつ、元気にやっていけるよう、がんばろうと思う。

  • 16ceremony0_3
    16ceremony0216ceremony04_2

    本日、義姉スジャータと義兄ラグヴァンの招きで、IIS(インド科学大学)キャンパス内の彼らの家へ赴く。ユカコさんとビル、ジェイクくんも招かれていて、わたしたちがついたときには、すでに到着していた。

    まずは本日、アルヴィンドとスジャータがラクシャー・バンダン(ラーキー)の儀式を行う。姉、もしくは妹が、兄、もしくは弟の腕にラーキー(Rakhi)と呼ばれる紐を巻き、男兄弟の健康や厄除を祈るのである。

    去年、そして2年前も行ったので、ご記憶の方もあるだろう。去年は日本の母も来ていたのだった。なんだか遠い昔のことのようだ。

    儀礼ののち、IISへ来るのが初めてのユカコさんたちのために、ラグヴァンがキャンパスを案内してくれる。

    「昔のバンガロールは、街全体がこうだった」と聞かされるたびに、過去のこの街に思いを巡らせずにはいられないこのキャンパスの、その緑の豊かさ。

    雨あがりの、緑のしっとりとした匂いと、ひんやりと清らな空気が、まるで国立公園のようである。テントを張ってキャンプでもしたくなるような様子である。

    タタ・インスティテュートとも呼ばれるこのインド科学大学。正式にはPh.D (博士号)取得と研究機関であり、大学というよりは大学院である。ラグヴァンはここで教鞭をとると同時にエイズ・ワクチンの研究をしている。

    わたしはすでに何度か訪れたことがあるのだが、ユカコさんたちとともに、ラグヴァンの案内に従って研究室についていく。

    インド最高峰の研究機関であるが、率直に言って、設備はミニマム。予算がなさそうな気配でいっぱいである。が、米国ではなくインドを拠点に選び、ここで十年以上過ごしているラグヴァンは、この研究室にとても愛着を持っていることがよくわかる。

    16labo016_216labo03
    16labo0216labo01

    2000年、アルヴィンドがMIT(マサチューセッツ工科大学)の同窓会に赴いたおり、当時はまだガールフレンドだったわたしも数日かけて行われるイヴェントに参加するべく同行した。

    ちょうどそのとき、ラグヴァンは研究のために1カ月ほどMITの研究室に在籍していて、わたしたちを研究室内に案内してくれた。その設備のよさといったら、当たり前といったら当たり前だが、IISの比ではなかった。

    研究を遂行するためには研究資金が必要で、そのために製薬会社など、自分たちでスポンサーを探さなければならないこともあるらしい。詳細はさておき、ラグヴァンの仕事もなかなかに大変のようである。

    ちなみに右上の集合写真。休日だというのに作業をしていた男女学生がいたので、ラグヴァンが「写真を撮って」と撮影を頼んだのだが、どうやら彼らは自分たちも一緒に写真を撮りましょうと勘違いをしたようで、にこにこと一緒に並んでくれたことから、やむなく坂田が撮影した。

    16sky0116sky02_2

    かくなる次第で、いつものように、わけがわからないものを見せてもらいつつ、わけのわからない説明を受けつつ、何がなんだかわからないまま、研究室を出る。

    屋上に出て曇天の空を仰げば、舞い飛ぶ鳥たち。かと思えば、なんと大きなコウモリ群! こんな大きなコウモリを見るのは初めてのことで、しかもその姿がまるでバットマンのロゴにそっくりで、「うわ〜っ、バットマンみたい!!」と騒ぐ。何か間違っている気がしないでもないが、ともあれ。

    16dinner03

    研究室から戻り、まずはラグヴァン博士特製のカクテルで乾杯する。博士の作るカクテルは、分量が厳密に守られているような、律儀さを感じる。

    しかし、「ブルーハワイ」といいながら、見た目グリーンなのはどうしたことか。何らかの化学反応か。そんなことはさておき、たいそうおいしい。何度も作ってくれるので、何度もおかわりをしてしまう。

    インドスナックをおつまみに、しばらくおしゃべりののち、ジェイク君もちょうどおやすみしてくれてディナータイム。今日はスジャータが、北インドの家庭料理を食べる機会がないであろうユカコさんとビルに、手料理をごちそうしたいと腕によりをかけて準備してくれていた。

    16green16dinner00

    米国で購入したスロークッカー(わたしも欲しい)で、ゆっくり一晩かけて煮込んだという骨付きマトンのカレー。身がとろとろと柔らかく、抜群に風味がよい。

    それから野菜入りのダル(豆の煮込み)、カリフラワーのソテー、プーリー(揚げたパン)、自家製ヨーグルト、タマネギのスライスなどが並ぶ。スジャータの愛情が伝わって来る、やさしくて温かい料理だった。

    16dinner16tart_2

    写真右のタルトは、本日坂田作のレモンタルトだ。なぜ大小あるかには事情がある。

    そもそも今日は、久々にアップルタルトを作る予定であった。昨日、SPENCER’Sでリンゴを探したのだが、買おうと思っていたニュージーランド産のグラニー・スミスが新鮮ではない。どうしよう。

    別のよく知らないリンゴの方が新鮮そうだ。それを買うと同時に、インド北部産のリンゴも買う。ところがこの2つともが、もっさりと寝ぼけた味で、焼き菓子に向かなかった。少々傷んでいてもグラニー・スミスを買うべきだったと悔やむが時既に遅し。

    ニューヨークのソーホーで人気があるベーカリー、”Once Upon a Tart”のレシピブックを開く。素材を見たところ、レモンタルトが目に留まった。レモンは近所の八百屋でも手に入る。レモンタルトにしよう。プレシラにお使いを頼む。

    さて、生地を作って冷蔵庫に寝かせている間、タルト型を探すが、なぜか大きな型の「底」がない。周囲と底が別になっていて、焼き上がりを底からカパッと押し上げて取り出すタイプのタルト型なのであるが、その底がないとあっては、どうしたもんだ。

    最後にタルトを焼いたのはいつだか思い出せない。仕方なく、パイ皿で代用するとする。それに加え、小さなタルト皿4枚も使い、若干多めに焼くことにした。

    なにしろ、初めてレシピであるのに加え、インドのレモンは米国や日本のレモンとは異なる。写真右下のライムのようなものがそれだ。

    これがどのような味わいになるのか、未知数ではあるが、取りあえずはレシピに従って作ってみる。

    16once16lemon

    小さなタルト型はあっという間に焼けたが、しかし大きな型は、なかなか焼けない。加えて、オーヴンの温度設定が難しい。なにしろインド製のオーブンである。この新しいオーブンで菓子を焼くのはまだ3度目で、加減が掴めていない。

    200度に設定したとしても、それが本当に200度である可能性は限りなくゼロに近い。高めか低めかの見当もつかぬ。オーヴン対応の温度計を、今度米国を訪れたときに購入せねばと思う。

    それはさておき、どうにも焼け具合からして、大きいものよりも、小さいもののほうが、おいしそうな気がする。大きい方はレモンカード(具)が多すぎた気がするのだ。

    そんなわけで2種類を持参し、みなに味見をしてもらった次第。やはり、小さい方が、タルト生地が香ばしく焼けていて好評であった。

    今後の改善点としてまず挙げられるのはレモンの分量。インドのレモンの方が、米国のレモンよりもかなり濃い。味がシャープだ。従っては、次回はスイートライムを加えて少しマイルドにするとか、生クリームを若干多めにするなどの工夫をすべきだと思われた。

    次に、焼く際には、やはりパイ型を使ってはいけない。大型タルトの底が見つかればそれを使って少し浅めに具を流し入れる。あるいは小型タルト型で作るべし。

    ちなみに生地は、今回、精製小麦粉のMAIDAを使用したが、無精製のATTAでも素朴な風味のおいしいタルト生地ができる。

    バターは今回、ニルギリス製をの無縁バターを使った。しかし、ブリタニアでもマザーデイリーでもアムルでも、おいしくできる。砂糖はオーガニックのやはり無精製の砂糖。これをふるいにかけて使った。

    インドは菓子の素材が非常に安価で手に入る。特にバターは、日本で不足していることが信じ難いほど、どさどさと大量に、しかも安価で店頭に並んでいる。

    わたしたちが太らない体質だったら、もっと頻繁に菓子を焼くところであるが、そうではないので、控えめにである。

    16sariところで、右は本日の我が姿。

    帰宅して後、満腹&酔っぱらい状態であるが、撮ってもらった。

    今後、サリーを頻繁に着用しようと心に決め、ちゃんと写真も撮っておこうと思ったのだ。

    本日着用は、ラジャスタン地方産。木のスタンプでペタペタと柄を押されたものである。

    2年前、アートスクールのエキシビションで購入した。

    最早、「日印サリー親善大使(非公認)」になって、日本のみなさんにサリーの美しさの一端を見ていただこうとの思いである。

    サリーを買うための、たいそうな口実、ともいえる。

  • 13sari00

    金曜から来週にかけてはバンガロールである。スジャータとウマからプレゼントでもらったサリーのブラウスは、洋装ファッションを手がけてくれるバンガロール在住のデザイナー女性に任せるつもりだ。

    彼女が仕立てるブラウスは、街のテイラーよりは割高だが、「洋服向け」の立体裁断で、着心地がよくシルエットも美しく、縫製が丁寧なのだ。本来彼女は、自分のスキルを生かせる洋装を中心に注文を受けているのだが、わたしは専ら、サリーのブラウスばかりを依頼している。

    せっかくならば、まとめて発注したい。例の「絞り染めサリーの店」へ足を運ぶなら今週しかない。と、慌てることもないのだが、本日、赴くことにした。

    13choco●ムンバイにレオニダス!

    ケンプスコーナーでタクシーを降り、サリー店まで歩こうとしたところ、目の前にレオニダスを発見!

    ベルギーチョコレートのレオニダスが、ムンバイに?

    空輸して、溶けないままに、ディスプレイできるの?

    溶けたり固まったりを繰り返してたりなんかしてないの?

    そんな失礼な疑念はさておいて、ともかくは、店へ入る。と、気前のよい店員が、一粒まるごと味見をさせてくれる。おおう。久しぶりに、おいしい!

    この店、この5月にオープンしたばかりで、10日に一度、ベルギーから新鮮なチョコレートを空輸しているのだとか。値段は諸外国と変わらず。パッケージ入りもあるが、基本は重量単位での販売。ここでは100gが450ルピーからとのこと。一粒平均150円程度か。

    ふと、ワシントンDC時代が蘇る。ご近所のジョージタウンに、やはりレオニダスがあって、週末アルヴィンドと散歩しているときなど、ふらりと立ち寄り、4粒とか6粒とかほんの少しずつ買っては、小さな紙袋に入れてもらい、少しずつ分け合って食べたものである。

    遠い昔、レオニダスはじめ、ニューヨークのチョコレートショップのことを書いた記事がホームページにあるので、ご興味のある方はこちらをどうぞ。

    ■Leonidas: #1 Cornelian Bldg, 104 August Kranti Marg, Kemps Corner, Mumbai

    ●そして絞り染めの、色彩の、海へ。

    わたしは、自分が買ったものを、あるいは買い物の成果を、世間に公表したいわけではない。

    このサイトの主目的は「インドのよき部分をも」アピールすることである。入手した諸々を載せていることに、我ながら節操がないのではないか、と思うところもあるのだが、しかしこの国で出合う「よきもの」の、それらは一端である。

    その一端を、なるたけ多くの人に知って欲しい。そんなわけで、ここに紹介している次第である。ということを、あらかじめ断っておきたい。

    pencil

    店へ入るなり、目移りである。それはインドのテキスタイルショップであれば、どの店においてでも、である。壁一面を覆い尽くす布の山。その、分類されているともされていないともつかぬ、色柄の海。

    少なくともこの店は「絞り染め (Tie and dye) 」というテーマで以て一貫しているから、迷いは少ない。素材が絹か綿か、という大きな分類と、刺繍や絞りの緻密さによって値段に広がりがある。

    店主のスジャータは、先日、ウマとロメイシュとともに訪れたときとは一転して、ご機嫌斜めであった。お客であるわたしを迎え入れながらも、従業員男子2名を、ヒンディー語で怒鳴り散らしている。さらには、アシスタントの女性に向かって英語で、

    「できることなら、こいつらをひっぱたいて、今すぐ蹴り出したいところだわ!」

    と息巻いている。背後で炎が巻き上がっている。何があったんだスジャータ。我が穏やかな義姉スジャータとは似ても似つかぬスジャータだ。ここにお客がいることを忘れないでくださいスジャータ。

    気を取り直してスジャータ、わたしに希望の色柄、予算を尋ねる。

    ここで自分の意見を的確に述べることの、実は難しいことと言ったらない。一番上の大きな写真を見ていただきたい。一瞥する限りでは、全体に「ド派手!」である。しかし、一つ一つに目を走らせれば、それぞれの色に味わいがあり、派手ばかりではなく、落ち着きのある色、繊細な色遣いのものも見られる。

    いつも、同じような色を選んでしまうから、違うものを見つけたい。しかし、自分の肌色に合わなければならない。視線が泳がぬように、一つ一つを確認しながら、しかしやっぱり視線は泳ぎ、焦点を定めるのに一苦労だ。

    「あれを見せて」

    と、指差して言えば、

    「あら。これは35000ルピーよ。これを最初に見ると、他のものでは妥協できなくなってしまうわよ」

    おっしゃる通りでございます。とはいえ、いいものも見ておきたい。それは、金糸がぎっしりと施されたうえに、緻密な絞りで以てデザインされた、見事な布であった。

    サリーに用いる布は約5メートル。身体に巻き付けられる部分、つまり外にはあまり見えない部分も2メートルほどはあるのだが、あまり見えないとはいえ、前面でプリーツにもなることから、5メートル全体に亘って、デザインが施される。何度も書いて来たことだが、これらは「芸術作品」である。

    他の店が、どさどさと見せてくれるのに対し、スジャータは比較的「出し惜しみ」である。あれこれを引っ張り出さず、わたしの好みを聞き出してから、見せてくれる。

    今日のところは、若干カジュアルなパーティーなどに着られる、あまり気合いが入り過ぎていないサリーが欲しい。とはいえ、その線引きが難しい。なにしろインド。派手の尺度が諸外国とは異なるのだ。

    13sari01
    13sari05

    何枚かを、羽織ってみる。布だけで見るとピンと来なくても、羽織った途端に魅力を発揮するものがある。それは自分に似合っているという目安である。自分に似合う色柄ものは、布の潜在力が大いに発揮されるし、似合わないものは、相殺しあって魅力が出ない。

    たとえば上の2枚。これらはわたしの肌色に、よく似合った。上の「一見地味」なサリーは、一見地味なだけに、インドでは滅多に見ない色の組み合わせであるが、その渋いながらもエレガントな風合いに引かれる。たまらん。

    下の「一見派手」なサリーも、しかし羽織ればしっとりと落ち着き、やさしさのあるグラデーションが魅力的である。肌触りも心地よく、思わず頬ずりしたくなる。しないけど。

    13sari0213sari03

    ご機嫌斜めなスジャータに、しかしあれこれと尋ねたところを箇条書きにすると、以下の通りである。

    ・(彼女は若く見えるが)ニューヨークで働いている息子がいるらしく、年の頃なら40代後半か。
    ・彼女は数十年に亘り、これら商品の製造から販売までを一手に行っている。
    ・主にはグジャラート州で製造している(一部ラジャスタン州)。何カ所もの村で、何百人もを雇っての作業である。
    ・まず、布の調達。素材となる白地の布は、全国各地から良質のものを取り寄せる。

    <以下は異なる職人による作業工程>
    ・白地に、金糸の刺繍を施す。
    ・染めのデザイン画を描く。
    ・デザインに従って、糸で絞る。
    ・染める。乾かす。染めるを繰り返す。
    ・乾いてしまって初めて、仕上がりの善し悪しがわかる。

    ちなみに上の2枚は、全行程8カ月から10カ月かかって作られるらしい。染めるだけでも15日はかかるのだとか。

    デザインは、主にはスジャータが各作業場に「電話で」指示するらしい。みな、熟練の「数十年選手」ばかりなので、おおよそは伝わるという。

    ともあれ、後継者の育成、商品の管理、その他諸々諸々で、日々ストレスフルらしい。

    「わたしがヒステリックになる理由、わかるでしょ。ともかく、この国で仕事をするのはたいへんなのよ!」

    と、開き直っているご様子。わたしがサリーの写真を撮っていいかと尋ねたら、一瞬顔を曇らせつつも、

    「あなたがインド人なら絶対にダメだというけれど、日本人だから、いいわ。わたしはね、インド人を信じていないの。なにをやらかすかわからない。平気で人を欺くし。写真を撮って、コピーを作るなんて常識だしね」

    確かにおっしゃる通りだが、それにしても、そんなに厭世的にならなくたって……。一応、客商売なんだし……。スパにでもいって、リラックスして来てはいかがですか? と言いたくなるが、もちろん言わない。

    「他にお店はあるんですか?」

    「いいえ、全世界にこの店だけ。でもね、顧客は世界中にいるの。主にはNRI(非インド在住インド人)ね。広告は一切出さなくて、すべて口コミなのよ。広告なんて、信用できないでしょ。確かなのは口コミ。口コミよ」

    「で、どれを買うか、決めた? そう。じゃあ、じっくり検討して。わたしはこっちで仕事を始めるけど、いいかしら」

    まったくもって、サーヴィス精神のないスジャータだが、しかし作品は人の心を捉えて離さぬ。この店の商品は、他とは違うな、という魅力が布から迸っているのである。やれやれである。

    そうして、ついには、選んだ。

    無論、布を選んでも、そのまま持ち帰られるわけではない。ブラウス部分のみをビリビリと裂いて(文字通り、手で裂いていた)、残り部分はまだ残る絞りの糸を全部取り除き、裾の部分の裏地をつける処理、それからアイロン(身体に巻き付ける部分のみしっかりと)などの作業をやってもらう。

    次回、ムンバイに来たときに、引き取ることになるだろう。

    13sari07左の写真は、スジャータに怒鳴られ、すっかり意気消沈してせっせと布を折り畳む従業員2名。

    なにやら、哀愁である。

    元気出せよ、と声をかけたいくらいであった。

    そんな荒んだムードの店ではあったが、一見の価値ありである。サリーだけでなく、サルワールカミーズ用の布もある。

  • 12taj

    ●またしても、女性のためのエキシビションが行われており。

    バンガロール宅が恋しい。なにしろ毎日、風雨である。書き上げたい原稿は進まず。家にいても煮詰まるばかりなので、夕飯のための買い物にでも出かけようと思う。

    まずはご近所のお気に入りなレストラン、Moshe’sへ赴き、パンを購入。お気に入りのエジプト風パンはいつも売り切れ。やむなくピタパンとベーグル、フォッカチオを購入。やはりパンは朝、買いに来るべし。

    パンを片手に帰路、Taj Presidentでマダムの人だかりを発見。またしても、何やらのエキシビションが行われているようである。パンの袋を携えて、しかし迷わず入る。

    本日はジュエリーやシルヴァー製品なども多く、衣類も洗練されたものが多く展示されている。上の写真は、例の「絞り」のサリーの展示だ。先日、ウマが連れて行ってくれた店は、この絞り染めの専門店である。

    インドの人々は、この絞り布にアイロンをぴっちりとかけてのばし、サリーとして着用するのだが、わたしが唯一持つ絞りサリーは、身体に巻き付ける部分のみアイロンをかけ、最後の一巻きとうしろにタラリと下げる部分には、軽くしかかけていない。その方が、絞りの質感が出てよいのだ。

    触れてみれば、その手触りの良さに改めて惚れる。しかしサリーの色合いは、今ひとつだ。やはり近々、ケンプス・コーナーのあの店へ行かなければ。

    30owcちなみにわたしが現在持つ、唯一の絞り染めサリーとは、例のTV番組「仰天ライフ」に出演した際、OWCのコーヒーモーニングで着用していたものである。

    右の写真がそれである。

    友情出演してくれたエリカさんとユカコさん、そしてまだ小さなジェイク君も一緒に写っている。

    このサリー、着やすい上に、軽くて着心地も抜群なのだ。

    色合いもまたとても気に入っている。同じものばかりを着てしまっていけない。

    ●インド風味のコロッケが美味。キャベツもいける。

    オリンピック関連ニュースで、水泳の北島選手の実家が「メンチカツ屋」だとの記事を目にした途端、メンチカツが食べたくなった。それに類似したものとして、コロッケを作ることにした。

    12din0112din02

    我が家庭料理の大半がそうであるように、コロッケもまた、かなり独創世界である。今夜はインドスパイスを利用してみた。
    ・オリーヴオイルに粒こしょうやカルダモン、シナモンなど、パウダーではない「形あるスパイス」を加えて香りをオイルに移す。
    ・スパイス類を引き上げて、バターを加える。
    ・みじん切りのタマネギを加え、黄金色に色づくまで炒める。
    ・ニンジンのみじん切りを加えて、しんなりするまで炒める。
    ・三大スパイス(ターメリック、コリアンダー、キュミンパウダー)を加える。
    ・ひき肉(今回は冷凍保存していたチキン)を入れてほぐしながら炒める。
    ・塩など好みの調味料で味を整える。ジャガイモを加えるのでやや濃いめに。

    ・ジャガイモを茹でて潰す。若干牛乳を加えると滑らかになる。

    ところでインドの場合、茹で方がワイルド。わたしもそのワイルドな茹で方を実行している。小振りのジャガイモを、きれいに洗って皮のまま、圧力鍋で茹でるのだ。シューッと一吹きしたら火を止め、余熱で茹で、ほどほどに冷まして皮をむく。この方が皮をむくのが簡単。かつ、ポテトの旨味が湯の中に逃げない感じがしてよい。

    ・ジャガイモと炒めた具を混ぜ合わせる。
    ・味見をしたならば、すでにこの時点でうまい! 
    ・尤も、この時点でまずかったら、失敗である。
    ・味見というよりは本気で数口、食べてしまう。
    ・しばらく、寝かせる。
    ・俵型に整え、小麦粉→卵→パン粉(日本もの)をまぶして揚げる。
    ・多めに作って冷凍保存。妻不在時の夫の夕飯のために。

    本日の付け合わせは、キャベツと、なぜか高野豆腐。なぜなら賞味期限切れが迫っているのに気づいたためである。取り合わせが変だが、高野豆腐は夫の好物なのでノープロブレムである。

    ところでキャベツについて。インドのキャベツは硬いが、芯のあたりを避け、こうして千切り(雑で失礼)にして一旦、さっと茹でると食べやすい。コールスローのようにしてもいい。レモンやオリーヴオイルなどで軽く味つけるのもいい。オリーヴオイルとワインヴィネガーでもよい。

    今日のところはゴマ油に醤油、白ワイン少々、ジャガリ(無精製の砂糖)少々であえてみた。これを冷蔵庫で冷やした後、ゴマや鰹節、或いは揉み海苔などをふりかけて食べるのもおいしい。小さいものなら、二人であっという間に一玉分、平らげてしまう。

    キャベツの千切りは、南インド料理風に、たっぷりのオイルにマスタードの粒(インドでは一般的なスパイス)やココナツと共に炒めて食べても美味である。

    ところで、今夜の高野豆腐は、夕べの「スペアリブとダイコンの煮付け」で余った煮汁を活用した。煮汁を冷蔵庫で保存すると油脂がうまく分離するため、それを濾せば旨味の染み込んだ煮汁として再利用できるのだ。

    そんなわけで、今夜もまた、美味なる食卓であった。

  • 08work01

    ロメイシュ・パパとウマに誘われ、本日の午後はショッピング。ウマが友人から勧められたというケンプスコーナー界隈の店舗を数店巡る。

    特筆すべきは、「絞り」のサリー専門店だった。かなり精緻な絞りによる色柄も豊かな数々のサリー。あまりのすばらしさに、今日のところは時間が足りないと断念。後日ひとりでゆっくりと訪れることにした。サリー店のレポートは日を改めるとして、本日は刺繍製品。上の写真がそれである。

    「日本へ帰ったときのお土産に」

    と、多めに購入してしまったが、さていったい、いつ日本へ帰国するのであろうか。そして帰国する前に、自分が使わずにいられるのだろうか。

    ともあれ、探していたチビクッションのカヴァーも見つけられて、非常にうれしい。

    ところでこの刺繍製品、ご記憶の方もあろうかと思う。過去、バンガロールのSVISTIで見つけ、ブログに写真を載せたところ、「あのバッグが欲しい」との反響を各方面から得た「人気商品」である。

    そのバッグをはじめ、壁掛け、クッションカヴァー、サリーやブラウス、スカートなど、さまざまな商品が狭い店内を埋め尽くしている。

    08work0308work04
    08work0508work07
    08work06_208work08

    創業1969年の、SHRUJANという名のこの店。グジャラート州のカッチ (Kutch)という地方の伝統工芸である刺繍製品を販売している。現在カッチにおける約100もの村の、3500人にのぼる女性たちによる、16種類の技法でもって生み出される刺繍製品を取り扱っているとのこと。

    SHRUJANはこの伝統工芸を守るべく、技術訓練の機会を設け、商品製作を指南するなどのバックアップを行いつつ販売を手がけているようである。

    これまでも幾度となく記してきたことだが、インドの伝統的な手工芸には底知れぬ広がりと美しさが秘められている。それらが大切に守られ、引き継がれていくことはとても大切なことだと思う。

    洗練されたブティックで高価な値がつけられた商品を買うのもいいだろうが、個人的には、良質の素材から作られた、手作りの温もりが伝わるこのような製品を、なるたけ買い求めたいものだと改めて思う。村の女性たちが、一針一針丹念に、刺繍を施すその姿を思い浮かべながら。

    100%自分の好みと合致しなくても、それはそれでよいとさえ思うのだ。

  • 04sky

    夕餉の支度の窓から夕映え。湿気を含んだ海風の強く吹き込むのさえ心地よく。

    どこに住んでも、朝昼晩、食べて、動いて、眠るのを軸に、異なるさまざまに立ち向かいながら、異なるさまざまに溶け込みながら。

    04silk0404silk07
    04silk0804silk02

    本日のワールドトレードセンターはシルク製品のエキシビション。お向かいで「市場調査」ができるとは、つくづく便利なロケーションである。全国各地の絹製品が一堂に会し、精緻な手工芸に見入る。

    別々に出かけていたロメイシュ・パパとウマが、お土産にバラナシ・シルクのすてきなサリーを買って来てくれた。すみれ色。今まで持っていない色だ。この間、スジャータからもらったサリーといっしょに、ブラウスの仕立てに出さなければ。

    apple

    04drink右の写真、サワードリンクを作っているところ。ハチミツとリンゴ酢、そして果物。

    左端のボトルは、漬けて数日のザクロの実。

    キウイやバナナ、プラム、その他いろいろな果物で作ることができるようだ。

    今日はマーケットでアムラを買って来た。

    アムラとは、インディアン・グースベリーと呼ばれる果実。

    しかしそのままで食べるには硬くて酸っぱすぎるので、ピクルスや砂糖漬けなどに加工される。

    食用だけでなく、ヘアオイルなどにも使用され、アーユルヴェーダの処方にも頻繁に登場する植物だ。

    そのアムラを使って、サワードリンクを作ってみようと思いたった次第。皮をむき、適当な大きさに切り、ハチミツと酢を入れて漬ける。

    基本は「すべての材料が同量」らしいが、甘い果実はハチミツを減らして作る。1週間ほど漬け込んで後、果物を引き上げる。出来上がりは、水で薄めて飲む。爽やかな健康ドリンクのできあがり。

    04bread0104bread02

    またしても、おいしいパンを発見。ロメイシュとウマがお土産に買って来てくれた。チャーチゲートにあるレストラン&ベーカリー、GAYLOADのパンだ。

    バケットは2種類。プレーンとインドらしくガーリック入り。それからアーモンドパウダーのタルトにシナモンパイ。バケットは、本場欧州に比すれば「しっとり感」が強すぎるけれど、オーヴントースタで軽く焼くと、香ばしくなっておいしかった。

    それからタルトもまた、とても美味。パン屋さんの素朴なお菓子、といった味わいで。聞けばムンバイにほど近い都市、プネにも、その歴史的背景から、おいしいパンを作るベーカリーが多いのだという。

    そういえば、ポルトガルの久しく植民地下だったゴアにも、おいしいペイストリーがあった。一つの国ながら、それぞれの地に、それぞれの歴史に培われた食がある。

    知るほどに、知らぬことの多さを知る日々は、いつになっても変わらず。

  • 24bill_2

    ●電気代の請求書を、読めないんです。

    新居に電気代の請求書が届いた。日付からして、入居前の請求である。世帯主の名前も以前の居住者のままだ。とはいえ、内容は把握しておかねばならぬ。

    が……。

    読めない。数字と、ごく一部の英語しか、読めない。これはヒンディだ。発音なら辛うじてできるが、意味が全然分からない。アルヴィンドの帰りを待とう。

    夜、アルヴィンドに見せる。

    「電気代の請求書が届いたよ。でも内容が全然読めないから、ちょっと訳して」

    しばらく見つめる夫。

    「僕にも、読めない」

    「ちょっとちょっと〜! 何いってんの? これ、ヒンディじゃない。あなたの母国語でしょ? 面倒くさがらないで、ちゃんとやってよね」

    「これはヒンディじゃないよ。マラティ。文字は一緒だけど、違う言語なんだよ」

    なんということ! ヒンディじゃないの?

    ムンバイはマハラシュトラ州に属し、マラティが主言語だとは知っていた。しかし世間はヒンディをしゃべっている(ように思える)し、街角の看板はすべてヒンディで書かれているから、やっぱりヒンディを勉強せねばと思っていた矢先である。たちまち、やる気喪失……している場合ではない。

    バンガロールはカナラ。ムンバイはマラティ。双方で一応はヒンディも公用語として使われる。やっぱりヒンディは最低でも、ある程度は習得するべきなのだ。そう言いながら行動に移さない自分がいやだ。いやだが、自分を責めるのもいやなので、今日のところは忘れよう。

    後日、電力会社に赴いて、窓口で直接問い合わせよう。でも、英語を話せる人がいないような気がする。

    ● ド派手な女性たちが一堂に会する場所で。

    明日から1週間はバンガロール宅。我がムンバイ不在時の保存食を4晩分、作っておかねばならない。近所のレストランから出前を頼むこともできるし、Taj Presidentは裏にあるし、外食も可能なのであるが、愛妻による手料理が一番だと夫が言うのである。のろけているのである。

    24exbi00_5

    食材を買いにお向かいのワールドトレードセンターにあるNature’s Basketへ向かったところ、周辺はたいそうな渋滞と人ごみ。雨が降っているというのに、トレードセンターの入り口付近で、マダムらがひしめきあっている。

    なにか、エキシビションが行われているようである。なんだろう。行ってみよう。

    幸い、自由に入場できるタイプのショッピング・エキシビションである。先日、Taj Presidentで行われていた「オンナガウレシイ」と同タイプのもの。衣類やギフト、インテリア小物、ジュエリーなどのブースがずらりと並び、かなり大規模だ。

    それにしても入場者の多いこと! 99.99%が女性である。随所随所の人気店では、まるでバーゲンセールにの様相。老いも若きも、女性たちが商品を手に手に品定めをしている。

    24exbi0124exbi02

    そもそも「バーゲン時」や「セール時」の買い物が苦手なわたしには、ぐっとエネルギーが下降させられる環境ではある。体力、精神力は人並み以上にあるのだが、あの類いの闘いは、かなり苦手なのだ。

    前がつかえているので、やむなくゆっくりと歩いていると、うしろから背中をぐいぐいと容赦なく押して来るおばさまもいる。これが耐え難い。「押さないでください!」と言いながら、人ごみをかきわけながら、歩く。

    それでも、ムンバイ宅向けに欲しいと思っていたクッションカヴァー、いいものが見つかったので2つお買い上げ。ゆっくりと見たいところだが、ゆっくりと見られる状況でもなく、逃げ去るように出た。

    ところで今週末は、同じワールドトレードセンターで、「マルワール・メガ・ウエディングショー」が開催される。先日記した商業コミュニティのマルワリに向けて出版されている「マルワール」というライフスタイル誌が主催する結婚のフェアである。

    インドの結婚式が派手なことは幾度となく記したが、結婚のシーズンに先駆けて、結婚に関連する商品のフェアが行われるわけだ。

    豪奢なサリーや宝飾品、ギフトなどが展示販売されるようである。ウエディング関連のエキシビションはこれまでバンガロールでもムンバイでも何度か訪れ、記録を残しているのでご記憶の方もあろうが、ともかくは派手で賑やか。

    同時にこういうエキシビションを通して、インドの生活文化の一端を見ることもできるので、訪れる価値はある。

    ぜひ今回も見たいところだったが、あいにくバンガロールである。今後、結婚シーズンを控えて各高級ホテルなどでも催されることだろうから、タイミングが合えば、また訪れたいと思う。

    ●料理、それはスポーツ。額に汗して調理する夕暮れ時。

    丸ごとの鶏を解体する。手羽やもも肉は皮付きのまま、たっぷりのタマネギやアスパラガスなどと一緒にフライパンでソテーして、ブラックビーンソースなどで中国風に味付けをする。

    胸肉の部分は、やはり皮付きのまま、オリーヴオイル、味わいのよい塩とこしょうなど、でマリネをしたあと、オーヴントースターでグリルする。

    水をはった圧力鍋に、ささみのあたりと残りの骨の部分を入れる。ショウガをたっぷりめに入れて火にかけ、チキンスープをつくる。

    マナガツオとエビを一緒に、和風な煮付けにする。

    グリーンピーとトウモロコシを塩こしょうで炒める。

    大量のトマトを湯むきしてジューサーにかけ、トマトジュースよりはやや少なめのチキンスープをいれてとき、適当に味付けをしてあっさりヘルシースープを作る。

    残りのチキンスープは、後日のために冷凍保存。だしがよく取れたチキンスープはいろいろな料理に応用できる。

    24dinnerパンを食べやすいサイズに切って仕分ける。

    ご飯も炊いておく。

    冷凍するとどうなるのか未知数だが、いなり寿司も作って冷凍する。

    ちなみにパック入りのいなり寿司のおあげは、先日ドバイで買って来ていたもの。

    だからドバイへ、何をしにいったのだという話だ。

    とまあ、そういう類いのものをダダダ〜ッと作って、冷まして、冷凍庫へ入れる。左上写真は、本日仕上がりの一部である。というか大半である。

    一食分の品数が若干少ないので、足りないときには、近所のインド料理屋からダル(豆の煮込み)などを出前してもらえばよい。

    今日はたまたま鶏肉丸ごとしかなかったので、鶏肉主体であったが、今後はひき肉類なども駆使し、ハンバーグなど、冷凍してもなかなかにいけるものを作りおきしておこうと思う。